Translation status
This page has not yet been translated into English, or its translation is out of date. The current 日本語 version is shown as a fallback.
ステップ制御¶
FrontISTR の構造解析は,境界条件・荷重・接触・要素活性化をステップ単位で切り替えながら進める.このページでは,ステップごとの時間幅,サブステップ,収束判定,固定増分と自動増分・カットバックの使い分けを説明する.
解析上の時間に関する用語¶
本ページでは,解析上の時間を次の用語で区別する.
- 現時刻: 解析開始からの総経過時間.
- ステップ時刻: 現在のステップ開始からの経過時間.
- 時間幅: 1 つのステップで進める解析上の時間.
- 相対時刻: ステップ時刻を時間幅で割った値.ステップ開始時を 0,ステップ終了時を 1 とする.
- 時間増分: 現時刻から次につり合いを求める時刻までの増分.

機能の全体像¶
ステップ制御は,次の観点で構成される.
| 観点 | 役割 | 主な指定先 |
|---|---|---|
| 増分方式 | ステップを固定幅で進めるか,収束状況に応じて時間増分を調整するかを決める | !STEP |
| ステップ種別 | 静解析か,粘弾性・クリープを含む粘性解析かを決める | !STEP |
| 有効化する条件 | 境界条件,荷重,接触,要素活性化のグループをステップごとに選ぶ | !STEP のデータ行 |
| 収束判定 | 残差,Lagrange 乗数,変位増分などの判定値をステップごとに調整する | !STEP |
| 出力時刻 | 自動増分時に必ず計算・出力したい時刻を指定する | !TIME_POINTS と !STEP |
静解析では,固定増分と自動増分・カットバックを選択できる.動解析でも複数の !STEP による条件切替を行え,固定増分の時間増分とステップ時間幅も !STEP で指定することを推奨する.!DYNAMIC の n_step と t_delta は,!STEP を省略した場合や後方互換のための既定値として扱う.非線形陰解法では自動増分・カットバックを利用できる.熱伝導解析の時間制御は !STEP ではなく !HEAT の時間刻み指定で扱う.
ステップで有効化する条件は,グループ ID により指定する.境界条件,荷重,接触,要素活性化をステップごとに切り替えられるため,段階載荷,接触条件の切替,施工順序を伴う解析を 1 つの解析制御ファイルで表現できる.要素の活性化・非活性化のモード選択は,要素の活性化・非活性化を参照.
ステップの選び方¶
増分方式は,解析の非線形性と出力時刻の要求から選ぶ.
- 線形解析または 1 ステップで完結する解析では,増分制御を細かく調整しなくてもよい場合が多い.
- 荷重と応答が滑らかに変化する非線形静解析では,固定増分で十分な場合が多い.収束しにくい場合は時間増分を小さくする.
- 接触の開始・離脱,降伏の進展,大変形,材料非線形の急変を含む解析では,自動増分・カットバックを優先して検討する.収束しやすい範囲では増分を大きくし,収束しにくい範囲では増分を小さくできる.
- 自動増分を使いながら特定の時刻に結果を出したい場合は,出力時刻リストを併用する.
収束判定値は,解析の安定性と計算時間のバランスで調整する.収束判定を厳しくすると結果のつり合い精度は高くなるが,反復回数が増える.接触や Lagrange 乗数を含む解析では,通常の残差判定だけでなく,接触反復数や Lagrange 乗数の判定も計算の進み方に影響する.
静解析のステップ制御¶
静解析は,1 つまたは複数の解析ステップからなる.ステップの反復をステップループ,1 つのステップを時間増分に分けて解く反復をサブステップループと呼ぶ.各サブステップでは,指定時刻の荷重係数・境界条件・接触状態などを用いてつり合い計算を行う.
固定増分では,ステップ内の時間増分を指定値で進める.収束に失敗した場合は,その時点で解析を終了する.
自動増分・カットバックでは,直前のサブステップの収束状況から次の時間増分基準値 dtime_base を更新する.収束に失敗した場合は,直前に保存した状態へ戻し,より小さい時間増分で同じ時刻範囲を再計算する.

自動増分・カットバックの流れは次のとおりである.
- ステップ開始時は,初期時間増分を
dtime_baseとする. - ステップ終了時刻または次の出力時刻を越えないように,実際の時間増分を決める.
- 現時刻から時間増分だけ進んだ時刻でつり合い計算を行う.
- 収束した場合は時刻を進め,収束状況に応じて次の
dtime_baseを増減する. - 収束しない場合は状態を復元し,カットバック縮小率を用いて
dtime_baseを小さくして再計算する. - 現時刻がステップ終了時刻に到達したら,そのステップを終了する.
増分の増加・減少は,直前のサブステップの反復状況で判定する.判定に使う代表量は次の 3 つである.
| 量 | 意味 |
|---|---|
N_max |
Newton 法反復回数の最大値 |
N_sum |
Newton 法反復回数の合計値.接触反復がない場合は N_max と同じ |
N_cont |
接触反復回数 |
N_max,N_sum,N_cont のいずれかが減少側の閾値を超えた状態が指定回数続くと,時間増分を減少させる.一方,3 つすべてが増加側の閾値以内に収まる状態が指定回数続くと,時間増分を増加させる.増加時は時間増分上限を超えないように調整される.
自動増分・カットバックでは,次の場合に解析を失敗として終了する.
- ステップ終了前にサブステップ数の上限に達した場合.
- 時間増分基準値が時間増分下限を下回った場合.
- 連続カットバック回数が上限に達した場合.
次の例は,自動増分を有効にし,初期時間増分 0.01,ステップ時間幅 2.5,時間増分下限 1E-5,時間増分上限 0.3,最大サブステップ数 200 とする設定である.自動増分パラメータセット AP1 と,総時刻 1.5,2.7,3.9 の出力時刻リスト TP1 をステップに割り当てている.
!AUTOINC_PARAM, NAME=AP1
0.25, 10, 50, 10, 1
1.25, 1, 1, 1, 2
0.25, 5
!TIME_POINTS, TIME=TOTAL, NAME=TP1
1.5
2.7
3.9
!STEP, INC_TYPE=AUTO, SUBSTEPS=200, AUTOINCPARAM=AP1, TIMEPOINTS=TP1
0.01, 2.5, 1E-5, 0.3
入力書式と各パラメータの既定値は,!STEP,!AUTOINC_PARAM,!TIME_POINTSを参照.
動解析のステップ制御¶
動解析の直接時間積分は,!DYNAMIC で解法と時間積分パラメータを指定し,!STEP で解析ステップ,境界条件・荷重グループ,増分方式を指定する.!STEP を省略した場合は,すべての境界条件・荷重が有効な 1 ステップの解析として扱われる.
固定増分では,!STEP の 2 行目に DTIME, ETIME を指定し,時間増分とステップ時間幅をステップごとに制御する.複数の !STEP を定義すると,ステップごとに有効化する境界条件・荷重グループを切り替えられる.!DYNAMIC の t_delta と n_step は,!STEP を省略した旧形式の単一ステップ入力や,後方互換のための既定値として扱う.新規の入力では,固定増分でも !STEP で時間条件を明示することを推奨する.
自動増分を使う場合は,!STEP, INC_TYPE=AUTO を指定し,初期時間増分,ステップ時間幅,時間増分下限,時間増分上限を !STEP のデータ行で与える.非線形陰解法では,Newton 反復や接触反復の状況に応じて時間増分を増減し,収束しない場合は直前の状態へ戻して小さい時間増分で再計算する.
時間積分法や Newmark-β 法の係数などは !DYNAMIC で指定する.入力書式は,!DYNAMIC と !STEPを参照.
熱伝導解析のステップ制御¶
熱伝導解析の時間刻みは,!HEAT で指定する.!HEAT では,時間刻み,終了時刻,最小時間刻み,最大温度変化,反復回数,収束判定値などを組にして与える.
熱伝導解析の時間制御は,構造静解析の !STEP, INC_TYPE=AUTO とは別の仕組みで動作する.そのため,熱伝導解析で時間刻みを調整する場合は,!STEP ではなく !HEAT の指定を確認する.入力書式は,!HEATを参照.
出力時刻の指定¶
自動増分では収束状況によって時間増分が変わるため,結果を出力する時刻が事前に揃わない場合がある.!TIME_POINTS は,指定した時刻で必ずつり合い計算を行い,結果出力できるように時間増分を調整するための時刻リストである.
時刻リストは,解析開始からの総時刻で指定する方法と,ステップ開始からのステップ時刻で指定する方法を選べる.複数ステップをまたいで共通の時刻を指定したい場合は総時刻,ステップごとに同じ相対的な出力位置を指定したい場合はステップ時刻を使う.
各ステップでは,使用する時刻リストを !STEP から参照する.自動増分と併用すると,次の出力時刻またはステップ終了時刻を越えない範囲で時間増分が切り詰められる.入力書式は,!TIME_POINTSを参照.
関連項目¶
- 解析タイプ — 静解析,動解析,熱伝導解析などの解析種別の概要.
- 非線形反復・時間積分 — サブステップ内で行われる Newton 反復・接触反復・時間積分の構造(Newton 反復回数・接触反復回数の意味).
- 要素の活性化・非活性化 —
!STEPで有効化する要素活性化制御の使い分け. - Newton-Raphson 法(理論) — 反復解法の理論.
- 収束判定(理論) — 収束指標の理論.
- !STEP,!AUTOINC_PARAM,!TIME_POINTS — 構造解析・動解析のステップ制御の入力書式.
- !DYNAMIC,!HEAT — 動解析と熱伝導解析の時間制御の入力書式.