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境界条件・荷重

FrontISTR では,構造解析,熱伝導解析,動解析に対して,境界条件と荷重をキーワードで定義する.構造静解析では,定義した境界条件・荷重をグループ ID にまとめ,!STEPBOUNDARY 行または LOAD 行でステップごとに有効化する.動解析でも,!BOUNDARY!CLOAD!VELOCITY!ACCELERATION,および陰解法の !SPRING!STEP からグループ単位で有効化できる.時間変動を持つ条件は !AMPLITUDE で倍率を与え,複数自由度の線形関係は !EQUATION で定義する.

機能の全体像

境界条件・荷重は,解析種別ごとに次のように分類できる.

解析種別 主なキーワード 用途
構造解析 !BOUNDARY 固定拘束,強制変位,回転中心まわりの強制回転を与える.
構造解析 !CLOAD 節点集中力,回転自由度へのモーメント,回転中心まわりのトルクを与える.
構造解析 !DLOAD 表面圧力,サーフェス荷重,体積力,重力,遠心力を与える.
構造解析 !SPRING 節点自由度にばね支持を与える.
構造解析 !TEMPERATURE 熱応力解析で使う節点温度を直接指定または結果ファイルから読込む.
動解析 !VELOCITY!ACCELERATION 初期速度・初期加速度,または時間変化する速度・加速度処方を与える.
熱伝導解析 !FIXTEMP!CFLUX!DFLUX!SFLUX!FILM!SFILM!RADIATE!SRADIATE 温度固定,熱流束,対流,輻射を与える.
共通 !AMPLITUDE 境界条件・荷重の時間変動倍率を表で指定する.
メッシュ定義 !EQUATION 多点拘束式を定義する.

構造解析の自由度番号は,通常,並進自由度を 123,回転自由度を 456 として扱う.回転自由度は,シェル要素,梁要素など 6 自由度を持つモデルで意味を持つ.2 次元・3 次元ソリッド要素のみのモデルでは,対象節点が持つ自由度の範囲内で拘束・荷重を指定する.

構造解析の変位拘束

変位拘束は !BOUNDARY で指定する.節点または節点グループに対して,自由度範囲と値を与える.値を 0 にすれば固定拘束となり,0 以外の値を与えれば処方変位または処方回転となる.

構造解析では,!BOUNDARY の自由度範囲として 1 から 6 までを受け付ける.1 から 3 は並進変位,4 から 6 は回転自由度を持つ節点の回転拘束に対応する.自由度範囲をまとめて指定できるため,たとえば 1 から 3 を同時に固定して並進を拘束できる.

AMP パラメータを指定すると,振幅関数により拘束値を時間変化させる.通常の指定では,ステップ内の荷重係数または振幅関数の変化分に応じて処方変位を増分として与える.TOTAL=YES を指定すると,指定値を総変位の目標値として扱う.

ROT_CENTER を指定すると,中心節点グループを基準とした回転拘束を与えられる.この指定では,回転量から対象節点群の並進変位を計算して拘束を与える.ROT_CENTERTOTAL=YES の組合せには対応していないため,回転中心まわりの回転拘束は増分指定として用いる.

構造解析の集中荷重

節点集中荷重は !CLOAD で指定する.節点または節点グループ,自由度番号,荷重値を与えると,その自由度の右辺荷重として組み込まれる.

並進自由度 1 から 3 に指定した値は,座標方向の節点力として扱う.回転自由度を持つモデルでは,4 から 6 への指定により回転自由度に対するモーメントを与えられる.AMP パラメータを指定すると,集中荷重に振幅関数の値が掛けられる.

ROT_CENTER を指定すると,中心節点グループまわりのトルクとして荷重を与える.この場合,指定したトルクベクトルは,中心から対象節点群への位置ベクトルに基づいて節点力へ分配される.中心と対象節点が同じ位置にあるとトルクを分配できないため,回転中心と荷重点の幾何関係を確認する必要がある.

!CLOAD を節点グループに対して指定したモデルで,!MESHREFINE(メッシュ細分化,Refiner)を併用する場合は注意が必要である.細分化を行うと,元の節点グループに含まれる辺上に新たな中間節点が生成され,これらの中間節点も同じ節点グループへ追加される.!CLOAD は節点グループ内の各節点に同一の集中荷重値を与えるため,追加された中間節点にもそのまま集中荷重が付与され,細分化前に意図した合計荷重とは異なる荷重が作用する.集中荷重を節点グループで指定する場合は,細分化によって荷重点が増えることを踏まえて指定するか,個々の節点を直接指定することが望ましい.

構造解析の分布荷重・体積力

分布荷重と体積力は !DLOAD で指定する.!DLOAD は,要素グループまたはサーフェスグループに対して荷重タイプとパラメータを与える機能である.時間変動は AMP パラメータで指定する.

主な荷重タイプは次のとおりである.

荷重タイプ 内容
P0PPP1P6 要素面に作用する圧力を与える.面番号と要素面の対応は要素種別に依存する.
PXPYPZ 座標方向を明示した圧力指定である.入力時に方向ベクトルへ変換される.
S... サーフェスグループに対する表面荷重である.面番号はサーフェスグループの定義から取得される.
BXBYBZ 座標方向の体積力を与える.
GRAV 重力加速度ベクトルを与える.材料密度と組み合わせて体積力として組み込まれる.
CENT 回転軸と角速度に基づく遠心力を与える.

FOLLOW=YES を指定すると,表面圧力を変形後の面の向きに追随させる.この指定は有限変形を考慮する構造解析で意味を持つ.非線形幾何が無効な解析では,実装上,追随圧力は無効化される.

P1 から P6 や熱解析側の S1 から S6 と同様,面番号の意味は要素種別ごとに異なる.具体的な面番号対応とデータ行の並びはキーワードリファレンスを参照する.

構造解析のばね支持

ばね支持は !SPRING で指定する.節点または節点グループ,自由度番号,ばね定数を与えると,対象自由度の対角剛性にばね剛性が加えられ,右辺には現在の変位に比例したばね反力が組み込まれる.

自由度 1 から 3 に指定すると並進ばねとして扱う.回転自由度を持つモデルでは,4 から 6 への指定により回転ばねとして扱える.対象モデルが持たない自由度にばねを与えないよう,自由度構成を確認する.

現行実装では,!SPRING のばね剛性は個別の振幅関数で時刻変化させる対象ではない.ステップ内ではステップ係数に従って組み立てられるため,ばね支持の有効・無効を切り替えたい場合は,グループ ID と !STEPLOAD 指定を使ってステップごとに制御する.

構造解析の温度荷重

構造解析で熱ひずみによる荷重を与える場合は !TEMPERATURE を使う.節点または節点グループごとに温度を指定すると,参照温度や直前温度との差に基づいて熱応力解析用の等価節点力が組み立てられる.熱膨張係数は材料定義側で与える.参照温度は !REFTEMP で指定する.

温度は,制御ファイル内で直接指定する方法と,熱伝導解析などの結果ファイルから読み込む方法がある.READRESULT を指定した場合は,データ行の節点温度を読まず,SSTEPINTERVALREADTYPE などで指定した結果データを読込む.結果ファイルを用いる場合は,出力ファイルの保存時刻やステップ番号が構造解析側の指定と対応している必要がある.

!TEMPERATURE には AMP パラメータがないため,振幅関数による倍率制御の対象ではない.温度履歴を変化させたい場合は,温度データそのもの,読込対象の熱解析結果,またはステップ分割で制御する.

動解析の初期条件・処方値(速度・加速度)

動解析では,!VELOCITY!ACCELERATION により,速度または加速度の初期条件・処方値を与えられる.どちらも節点または節点グループ,自由度範囲,値を指定する.自由度範囲は 1 から 6 であり,回転自由度を持つモデルでは 4 から 6 が角速度または角加速度に対応する.

TYPE=INITIAL は解析開始時の初期速度または初期加速度を与える指定である.初期速度を与えた場合は,運動方程式との整合から初期加速度が計算される.初期加速度を与えた場合は,初期速度が計算される経路がある.

TYPE=TRANSIT は時間変化する処方速度または処方加速度を与える指定である.TYPE を省略した場合は TRANSIT として扱われる.AMP を指定すると,動解析の時刻に対して振幅関数を補間し,処方値に倍率として掛ける.

多点拘束

複数の節点自由度の間に線形関係を課したい場合は,多点拘束機能を用いる.対応キーワードは !EQUATION で,剛体結合・周期境界・節点間の変位関係など,単一節点・単一自由度の固定拘束では表しにくい関係を与えられる.

多点拘束の使い分け,線形ソルバ側の処理方式,他の自由度結合機能(接触 TIED 等)との関係は 多点拘束 を参照されたい.

熱伝導解析の境界条件

熱伝導解析では,温度固定,熱流束,対流,輻射を境界条件として与える.構造解析の !STEP とは別に,熱解析の時間制御は !HEAT で指定する.

キーワード 対象 内容 振幅指定
!FIXTEMP 節点または節点グループ 温度を固定する. AMP
!CFLUX 節点または節点グループ 節点集中熱流束を与える. AMP
!DFLUX 要素または要素グループ 要素体積または要素面に分布熱流束を与える. AMP
!SFLUX サーフェスグループ サーフェスグループに熱流束を与える. AMP
!FILM 要素または要素グループ 要素面に対流境界を与える. AMP1AMP2
!SFILM サーフェスグループ サーフェスグループに対流境界を与える. AMP1AMP2
!RADIATE 要素または要素グループ 要素面に輻射境界を与える. AMP1AMP2
!SRADIATE サーフェスグループ サーフェスグループに輻射境界を与える. AMP1AMP2

!DFLUX では,BF が体積発熱,S0 から S6 が要素面への熱流束を表す.!FILM では F0 から F6!RADIATE では R0 から R6 により要素面を指定する.面番号と実際の要素面の対応は要素種別に依存するため,詳細は各キーワードのリファレンスを参照する.

対流境界では,対流係数と外部温度を与える.輻射境界では,放射率相当の係数と環境温度を与える.AMP1 は係数側,AMP2 は外部温度または環境温度側に対応し,それぞれ独立した時間変動を与えられる.

振幅関数

振幅関数は,時刻と値の表により境界条件・荷重の時間変動を定義する機能である.入力上は !AMPLITUDE で名前付きの時刻表を定義し,対象キーワードの AMPAMP1AMP2 パラメータから参照する.

対応する主なキーワードは次のとおりである.

!AMPLITUDE は表形式(DEFINITION=TABULAR)で読み込まれ,時刻種別はステップ時刻(TIME=STEP)として扱われる.値は相対値または絶対値として定義できるが,個別キーワード側では通常,基準値に振幅値を掛ける係数として使われる.

!TEMPERATURE は振幅関数の対象ではない.また,!SPRING はばね定数の個別時刻変動としては組み立てられないため,ばね支持の切替はステップ制御で行う.

関連項目